About us彩明会について
ごあいさつ
■圧倒的に事業者優位な業界を目の当たりにして
1998年(平成10年)社会福祉法人彩明会は設立され、2000年(平成12年)に在宅生活が困難な知的障害のある方々のセーフティネットとしての役割を果たすため、法人最初の事業所である知的障害者更生施設(入所)りんごの家を開設しました。
りんごの家開設にあたり、私たちの行った利用者募集の動きは圏域内の市町村に電話を1本入れただけ、たったそれだけで定員の2.5倍近い120名を超える利用希望を頂きました。
施設開設に際し開催した事前の説明会にも参加していない方々も多く、また、「どこでもいいからとにかく施設に預けたい」という一心で希望された方々も多かったように感じます。
私たちはそのとき改めて、需要と供給が著しくバランスを逸している実情、すなわち私たちがこれから身を置こうとする業界は、圧倒的に事業者が強く利用者が弱い世界を容易に作り出す環境であることを肌で感じました。
■自己否定からの出発
当時は社会福祉事業法から社会福祉法への改正をはじめとする、社会福祉基礎構造改革の真っ只中にありました。
これにより事業者と利用者の対等な関係が明確化され、それにともない利用者の権利の重要性が改めて問われることとなりました。
そして入所施設に頼る福祉から、地域の中で様々なサービスを選択する福祉が「正義」とされ、入所施設を「悪」と考える大きな流れも巻き起こりました。
今思えば、私たちはこんな時期に入所施設を開設したことは、幸運なことだったのかもしれません。
なぜなら、私たちは「自己否定」からはじめることができたからです。もしこの時期でなければ、私たちは供給を圧倒的に上回る需要の上にあぐらをかき、入所施設を完全な正義と捉え、入所施設で全てを完結するという、利用者不在の自己満足な支援をしていたかもしれません。
■「想い」は私たちが決めるものではない
りんごの家が開設して、最初に感じたこと、それは入所施設の住みづらさでした。
融通の利かない集団での生活、やらざるを得ない規制や制限、決して持つことのできない自分だけの空間・・・。
やはり入所施設は「悪」なのか?しかしその一方で止むことのない入所施設への利用希望。
そして、ここで暮らしていきたいという利用者の方ご本人からの声やたくさんの笑顔。
苦悩しながらも気付いたこと、それは、施設が「正義」だとか「悪」だとか言っているのも、入所施設を希望しているのも、実はその多くは家族や私たち事業者、すなわち「本人」ではないということでした。
少なくとも私たち事業者は、何が「正義」だとか「悪」だとかを決める権限などなく、私たちがすべきことはあくまでも一人ひとりの「想い(ニーズ)」を形にし、その人らしく生きることを支えることなのだと。
■そしてこれから・・・
その後は生活の場としてグループホーム、地域生活全般を支えるための相談支援、地域生活を経済的に支える就労支援やより多くの工賃を支払うことのできる通所部門の整備、より充実した生活を送ることを支援するための余暇支援、短期入所をきっかけに感じた学齢期の子どもたちへの支援、などなど。
1つを形にすれば、そこでまた新たな「想い」に気付く、その「想い」を形にすればまた新たな「想い」に気付く、形にすればするほどそれまで気付くことのできなかった「想い」の多さに気付きます。
そして、2022年には50年以上もの長きに渡り地域に密着し、数多くの子どもたちの幼児教育、保育の実践を積んできたうさぎ幼稚園を運営する学校法人丸山学園と事業を統合し、これまで以上にインクルーシブな社会を目指した活動を行っています。
私たちがやらなければならないことにゴールなどないのかもしれません。
目の前にある「想い」を感じ、それをひとつひとつ形にし、その質を高め、そしてまた新たな「想い」に気付き形にする、そんな小さな積み重ねを、ただひたすらに繰り返し、数多くの「想い」に応えていきたいと思います。